彫刻次元空間

小嶋悠司

 

95年阪神淡路地震のあと、学生に向かい、日本画の絵具は深く力強く静かに心に響くものであり、いまは人体デッサンをしっかりとやり、構成力を養って欲しいと云っていた。

昔、イタリアに居た時、フレスコの前に(たぶん修理だろう)足場が組んであった。フレスコがよく見えない。中世の人はその中で描いていた。強いイメージと構成力と情熱を身体の内に持っていたのだろう。

小島君にもよく話した。彼は古代を視るようになり、生命の尊さを視るようになった。日本画絵具の荒々しくも素朴な深さを知っている。

小島君は未完ではあるが、空間に対して彫刻的次元を持ちながら描いている。私が持ち得ない才能を持つ人に注目する。

独自の空間を持つ大器に成長して欲しい。

(こじまゆうじ・京都市立芸術大学名誉教授)